香港、日本人ジャーナリストの入境を拒否 過去のデモ取材を問題視か

台北=石田耕一郎
[PR]

 香港で2019年以降に起きた大規模な市民デモを報じてきたジャーナリストの小川善照(よしあき)氏(54)が29日、香港空港で入境を拒まれたことがわかった。小川氏が30日に帰国し、朝日新聞の取材に経緯を説明した。

 小川氏によると、29日夜に香港空港に到着後、入境手続きの窓口で入管当局に止められ、別室で聞き取りを受けた。当局から入境拒否の具体的な理由の説明はなかったという。

 小川氏は14年にあった市民デモ「雨傘運動」以降、19年の大規模デモ時を含めて過去十数回、香港を訪れてきたが、入境拒否は初めての経験という。今回は、香港が中国返還26年を迎える7月1日の街の様子を見る目的で渡航していた。

 小川氏には19年のデモの背景を描いた「香港デモ戦記」などの著書がある。朝日新聞に「私の著書が香港政府にとって好ましくないと判断されたのだろう。香港は本当に変わってしまったと感じる」と語った。

 香港では、今年6月上旬にも、19年以降に現地でデモ参加者を応援する活動をしてきた日本人の路上演奏家が入境を拒まれた。昨年12月にも、デモに関する写真集を出した日本人写真家が入境拒否に遭っている。(台北=石田耕一郎)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    菅野志桜里
    (弁護士・国際人道プラットフォーム代表)
    2023年7月1日8時38分 投稿
    【視点】

    香港のブラックボックス化、中国政府による人権侵害のグローバル化現象が加速度的に進んでいます。 香港国家安全維持法で「香港の」言論活動を奪い、中国交番の世界展開で「海外に住む香港人の」言論活動を監視し、さらにはこの記事にあるように、海外ジャ

    …続きを読む