神宮外苑再開発、7月に説明会 事業者「説明会まで高木伐採ない」

土舘聡一

 東京都心の明治神宮外苑地区の再開発事業で、事業者側は30日、7月に住民説明会を実施すると発表した。再開発を巡っては、住民や専門家らから多数の樹木伐採による環境破壊や景観悪化などを懸念する声があがっている。事業者側は説明会で理解を得たい考えだが、批判の動きは広がっており、見通しは不透明だ。

 事業者をとりまとめる三井不動産が30日に説明会の実施を発表した。7月17~19日の3日間で、神宮外苑周辺の港区などの事業者約5千と約8千戸を対象とする。説明会は対象者へ送られる案内状が必要で、非公開となる。

 当日の説明と同内容の動画を特設サイトで17日正午から公開するほか、説明会での質疑応答も随時公開する。質問をネットでも受け付けるという。

 同社は、参加範囲に制限を設けないことも検討したが、近隣住民の懸念や疑問に対して丁寧に説明するため、参加者を限った説明会とウェブサイトでの説明という二つの方法をとったという。

 再開発事業は、神宮外苑にある神宮球場や秩父宮ラグビー場を建て替えたり、超高層ビル2棟を新築したりするもので、3月に着工し、2036年に完成を予定している。

 837本を植樹する一方、高さ3メートル以上の木700本以上を伐採する計画に対し、遺産保存の専門家らでつくる日本イコモス国内委員会や環境影響評価(アセスメント)の専門家でつくる国際影響評価学会日本支部などが「環境アセスの手続きが不適切。樹木伐採は行うべきではない」などと批判した。

 3月に亡くなった音楽家の坂本龍一さんが生前、再開発に反対する手紙を書いていたことが明らかになったほか、作家の村上春樹さんら文化人も相次ぎ反対を主張する事態となっている。

 再開発事業は、神宮球場に隣接する神宮第2球場の鉄塔解体工事が今月27日から始まった。工事関係者によると、8月から対象地域で高木の伐採を予定しているという。同事業で高木の伐採は初めてとなるが、事業者側は「住民説明会の前に高木の伐採はしない」としている。(土舘聡一)…

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