焼けた柱と壁…ウトロ放火の残骸、保存へ 憎悪犯罪の記録生々しく

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北川学

 在日コリアンが多く暮らす京都府宇治市のウトロ地区で2年前にあった放火事件の残骸の一部が、保存されることになった。事件は民族や人種などの違いに基づくヘイトクライム(憎悪犯罪)と指摘されており、惨事を生々しく伝えるために活用される。地区では家屋の解体が始まり、古い町並みは間もなく姿を消す。

 6月上旬、雨ざらしとなっていた放火現場を訪れると、かすかに焦げ臭いにおいが鼻をついた。家屋の天井は抜け落ち、真っ黒に焦げた柱が辛うじて梁(はり)を支えていた。物干しざおをつるす金具に、熱で溶けた雨どいが絡まる。目を転じると赤色のソファや原付きバイク……。確かに人が暮らした痕跡があった。

 ウトロ地区には、戦時中の京都飛行場建設に従事した朝鮮人労働者とその子孫らが暮らしてきた。2021年8月30日、放火により空き家5棟が全焼し、民家2棟が半焼した。逮捕・起訴された20代の男は昨年8月、懲役4年の実刑判決を受けた。動機について、「韓国人に敵対感情を持っていた」などと法廷で語っていた。

 「ヘイトクライムという深刻…

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この記事を書いた人
北川学
大津総局
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地域の歴史、国際ニュース