2歳女児死亡から1年、児童虐待防止に向け職員研修 大阪・富田林市

前田智
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 大阪府富田林市の団地で当時2歳の女児が自宅に放置され熱中症で死亡した事件から、29日で1年。市は部署の枠を超えて再発を防ごうと、吉村善美市長、部長や課長、議員ら約90人が参加して研修会を開き、冒頭に全員で黙禱(もくとう)した。

 府の有識者部会の報告書では、府児童相談所から市が対応を引き継いでから女児が亡くなるまでの約1年8カ月、市は家庭訪問をせず、経過観察のための家庭訪問が必要だったと指摘された。市は事件後、虐待相談担当職員を5人増やすなどした。

 吉村市長はあいさつで、「本市をはじめ行政の関わりがあったにもかかわらず、かけがえのない幼い命が失われてしまったのは、本当に無念。市職員をはじめ関係機関が一丸となって取り組む」と述べた。

 講師を務めたのは、こども家庭庁参与で社会福祉士の辻由起子さん(49)。辻さんは「児童虐待は個人でなく社会の課題。子どもの貧困は大人の貧困で、保護者の支援が不足している」と指摘し、小さな困りごとの時から支援することの大切さなどを訴えた。

 また、「子育ては24時間365日休みなし。サポート力の弱さが虐待を生んでいる」と述べ、府営住宅の空き家を活用した住居支援、防災を切り口にした地域とのつながりづくり、困っている家庭を訪問して食料を届けるフードパントリーなどの取り組みを紹介。「しんどい」と感じた時にすぐに話せる「なかよしの他人を増やす」関係性づくりなどを呼びかけた。(前田智)

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