「反逆者」プリゴジン氏が支持される理由 「よく戦っている」の声も

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 ロシア軍への反乱を企てた民間軍事会社「ワグネル」創設者のエフゲニー・プリゴジン氏は、「反逆者」にもかかわらず、一時占拠したロシア軍司令部からの撤退時には、拍手で見送る市民の様子が報じられた。その背景に何があるのか。

 「ワグネルに弾薬を供給しなかった国防省が悪い。彼らの腐敗や官僚主義は本当にひどい」。ロシアに住む40代の男性は25日、ワグネルの反乱に理解を示し、「プリゴジン氏は前線でよく戦っている」と評価した。

 プリゴジン氏は23日夜、多くの兵士を殺しているなどとロシア軍幹部を批判し、モスクワへの進軍を開始。流血の事態回避を理由に、24日夜に一転して撤退を表明した。広報担当者は同氏から連絡がない状態としており、現在の所在は明らかにされていない。

 ロシア南部ロストフナドヌーの軍司令部の占拠中は市民が近くに集まり、一緒に記念撮影する姿も見られた。撤退時には「ありがとう」の声が聞こえた。

 プリゴジン氏が起こした反乱は、プーチン大統領から「裏切り」と厳しく批判された。それでも、市民の人気を集めるのはなぜなのか。

■市民に募る国防省への不信感…

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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2023年6月27日7時30分 投稿
    【視点】

    ワグネルの反乱をめぐる一連の展開は、「関連する組織の親分が仲立ちしてメンツを立てた上での手打ち」など、いろいろな絵面が昭和の暴力団抗争を、というか「任侠系ドキュメンタリー」作品を思わせるものがある。アウトロー系ドラマの誘惑。多くの観客は、反

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    服部倫卓
    (北海道大学教授=ロシア・東欧)
    2023年6月27日9時58分 投稿
    【視点】

    要するに、プリゴジン氏は、アンチヒーロー、ダーティーヒーローとして、一部のロシア大衆にウケ始めたということだろう。 プーチン体制では、既得権益層が固定化される一方、一般市民の自己実現の機会は限られるようになった。現在は、「特別軍事作戦」への

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