ガス管修繕担当だった能見篤史さん おもちゃを贈りつづけた理由とは

有料記事ほんまもん

聞き手・室田賢 写真・滝沢美穂子
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 子どもたちをスタジアムに招待したり、病院を慰問したり――。

 プロスポーツ選手のなかには社会貢献活動に熱心に取り組む人がいる。

 プロ野球阪神タイガースオリックス・バファローズで投手として活躍し、昨季限りで引退した能見篤史さん(44)もその一人。背景には7年に及ぶ会社員としての経験があったという。

 ――阪神時代の2014年から1勝につき10万円分のおもちゃを兵庫県西宮市と出身地である同県豊岡市の幼稚園などに寄付する活動を始めました。当時プロ10年目の35歳。前年まで3年連続で2桁勝利を挙げました。

 ある程度、1軍の試合に出られるようになったころです。いろいろな活動をしていた先輩方の姿を見てきて、「自分もやっと同じことができる立ち位置に来られたかな」と。赤星憲広さんが1盗塁ごとに車いす1台を寄贈していたことは有名ですよね。僕には子どもが3人いたし、ずっと何かをしたいと思っていました。

 球団の営業担当に、「子ども向けで、どこか困っているところはありませんか」と相談したところ、幼稚園や保育園でおもちゃが古くなったり、足りなくなったりしているという話を教えてもらったのです。

 ――19年からは登板1試合につき2万円分とし、引退までに贈ったおもちゃの総額は660万円分ほどになったそうですね。

 中継ぎでの登板が増えたので、試合数の方がよいと思ったのです。毎年100万円以上は絶対に贈りたいと思っていました。19年の登板は51試合。オフにはおもちゃを持って園を訪ねるのですが、子どもが喜ぶ姿は本当にうれしいものです。だから額が多いと、「良かったな」と思える。園児はもちろん、おもちゃのメーカーさんら、喜んでもらえる人が増える。それも一つのモチベーションになっていました。

 ――そもそもこうした活動に取り組もうと思ったのはなぜですか。

 僕は1998年に鳥取城北高…

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    稲崎航一
    (朝日新聞大阪スポーツ部長)
    2023年6月27日11時42分 投稿
    【視点】

    【社会人時代のお仕事】 社会人野球を経験してプロ野球に入ってきた選手に聞くとおもしろい「鉄板ネタ」だと思います。 元阪神の赤星憲広さんはJR東日本出身で、車掌の資格も持っています。 ソフトバンクの佐藤直樹選手もJR西日本出身。20

    …続きを読む
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