第1回もし米兵に…手榴弾渡された祖母 ブルーロック原作者が描いた沖縄戦

【動画】人気サッカー漫画「ブルーロック」原作者の金城宗幸さんが、祖母の経験した沖縄戦を描いていた
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 週刊少年マガジン講談社)で連載中の人気サッカー漫画「ブルーロック」の原作者・金城宗幸さん(35)が学生時代、祖母の沖縄戦体験を描いた漫画がある。銃弾が飛び交う中を逃げ惑い、自決も覚悟した――。「とにかく事実を伝えたい」と当時を忠実に再現した作品を、金城さんの父親が沖縄を伝える活動で紹介し続けている。6月23日の「慰霊の日」を前に、沖縄戦を語り継ぐ父子の思いを聞いた。

 金城さんの祖母・幸子さんは沖縄県出身で、戦前、沖縄出身者が多く暮らす大阪市大正区界隈(かいわい)に移住。紡績工場で働いた。太平洋戦争中の1943~44年ごろ、親族の看病のため沖縄に戻り、地上戦に巻き込まれた。23歳ごろのことだ。

 今月12日、東京都内の会議室を借り、金城さんに話を聞いた。亡くなった祖母が15年ほど前、沖縄戦体験を証言した姿を思い返し、一つひとつ言葉を選びながら2時間以上じっくりと語ってくれた。

 「沖縄戦とか、ばあちゃんの人生体験、その時の気持ちも聞かせて」。京都精華大京都市)のマンガ学部生だった2006年ごろ、周りの人への聞き取りを通じて漫画を描くという課題がでた。

 金城さんが思いついたのは、沖縄出身の祖母だった。大阪に移り住んだ祖母の人生、特に沖縄戦についてはきちんと聞いたことがなかった。金城さんが電話で頼むと、幸子さんは「ええよ」。いつも通りの穏やかな声だった。

記事の文末に、金城さんが祖母の体験を聞き取って描いた漫画の全編を掲載しています。

 大学の夏休み、大阪市大正区の実家に戻り、夕飯前に畳の部屋で幸子さんと向き合った。祖母は柔らかい表情のまま、戦前から戦後にかけての体験を語り始めた。

 米軍は45年4月1日、沖縄…

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    木村司
    (朝日新聞社会部次長=沖縄)
    2023年6月22日12時0分 投稿
    【視点】

    やさしさあふれるタッチのなかに立ち上がる極限の生と死、といえばいいのでしょうか。大阪・大正区を訪ねた際に一度、この漫画を見せていただいたことがありました。おばあさんのわずかな表情の変化が胸に迫ってきたことを覚えています。記事で紹介されている

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