コロナ3年、リスクを感じても出歩くように そこにある心理的理由は

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聞き手・富田洸平
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 新型コロナの感染症法上の位置づけが5月に変わり、社会は元に戻る動きを加速させています。

 3年におよぶコロナ禍で、外出や外食などを自粛しては緩める、を繰り返してきた私たち。こうした行動を後押ししていたのは、自分自身の判断だったのか、それとも――?

 コロナ禍の感染予防行動について調査してきた、社会心理学者の樋口匡貴・上智大教授に聞きました。

 ――この3年間は、感染症対策に取り組む日々でした。

 「私たちは1度目の緊急事態宣言が出された2020年4月以降、東京都に住む約1千人を対象に、感染に対する予防行動や意識についてネット調査を続けています。外出しても人となるべく会わないようにするといった『外出・対人接触回避行動』、新型コロナウイルスを脅威に感じる『リスク認知』のほか、緊急事態宣言といった公的な要請を受けて○○すべきだと考える『命令的規範』、また、多くの人たちがどのような行動をしているかという『記述的規範』が、どう変化してきたかを分析しています。手洗いの程度や、最近ではマスク着用についても質問しています」

 「例えば初めての緊急事態宣言の際は、およそ8割の機会で外出・対人接触回避行動をとるなど、基本的には多くの人が対策をしていました」

 ――なぜ大半の人に予防行動が広がったのでしょうか。

 「多くの人がコロナに脅威を感じていたということもありますが、それだけでは対策は広がりません。外出自粛を例に挙げると、『人と接触しなければコロナに感染せずにすむらしい』という認知があり、さらに『実際にその対策をできるかどうか』も大事になる。比較的早い段階で、感染のルートがある程度分かってきたこと、そして企業が在宅勤務に切り替えるなど環境が整ったことが、外出自粛を可能にしました」

 「さらに調査から分かったのが、予防行動に大きく影響したのは、『みんながどうすべきだと考えているか』『実際にみんなはどうしているか』であった、ということです」

 ――自分以外の人々の考えや行動が大きかった、と?

コロナをリスクと感じても、出歩く理由

 「家にいる、出歩く、マスク…

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