自民党最大派閥の安倍派(清和政策研究会)は、会長不在が1年も続く異例の事態に陥っている。過去に繰り返した分裂を懸念して安倍晋三元首相の後継を1人に絞れず、集団指導体制をとっているためだ。強いリーダーシップを発揮できる体制が整わないと、力を失いかねない。
14日午後、東京・永田町の自民党本部。次期衆院選に向けた候補者調整をめぐり、安倍派幹部がひざを突き合わせていた。
議論を主導したのは、「5人衆」と呼ばれ、次世代を担う人材と派内で期待されている萩生田光一政調会長(59)や高木毅国会対策委員長(67)、世耕弘成参院幹事長(60)らだった。閣僚の松野博一官房長官(60)と西村康稔経済産業相(60)の姿はなかった。
事務総長の高木氏が口火を切った。「党選挙対策委員会から、比例への転出を打診された。みなさんの意見を聞きたい」
議題は「山口新3区」だった。衆院小選挙区の「10増10減」に伴い、山口県の選挙区は4から3に減る。自民は4選挙区で議席を独占しているため、1人は比例区にまわる必要がある。
党選対からは、安倍氏の後継で4月の衆院補欠選挙で当選したばかりの吉田真次氏(38)を対象にすると水面下で打診されていた。競合する岸田派の林芳正外相(62)を優先するという意向で、地元県連も林氏を推す声が多勢だった。
岸田派との対決も
この会合では、「主戦論」ば…
- 森岡航平
- 政治部|与党担当
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