美術史の異端 神や幻を見る表現者の驚きの表現(岡本太郎美術館)

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編集委員・大西若人
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 「何なんだ、この絵は」

 川崎市岡本太郎美術館の「顕神の夢―幻視の表現者」展の会場で、何度もつぶやきそうになった。紹介される機会の少ない異能の表現者たちとの出会いがいくつもあるからだ。

 時代や地域を超え、霊的なものを感じる作り手や、幻を見る表現者を集める、という企画自体が特異。しかも冒頭は霊媒気質のある宗教者たちの書や絵画で、刺激的というほかない。

 続く「幻視の画家たち」の章では、村山槐多(かいた)や関根正二、河野通勢(みちせい)、萬(よろず)鉄五郎、古賀春江らに交じり、著名とは言いがたい画家たちの作品が並ぶ。

 高橋忠彌「水汲(く)み」(1951年)は、人々の姿が泉の水面に映り、背後に半獣神のいる光景をねっとりと描く。三輪田俊助「風景」(37年)は、羽根が枯れ葉状の巨大なチョウかガが人間のように風景にたたずむ、シュールレアリスム的な幻想画だ。2人のような光景を見てしまう人こそ芸術家なのだろう。

 「神・仏・魔を描く」の章で…

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