在宅勤務には性善説が必要? 専門家が提案する「ゆるやかな柵」とは
働いているかどうかのチェックが難しい在宅勤務では、「従業員を信じれば大丈夫」といった性善説に立った意見があります。長年在宅勤務の推進に取り組んできた田澤由利さんは「それでは行き詰まる」と指摘します。在宅勤務には「人は監視がなければさぼるものだ」という性悪説が必要なのか。話を聞きました。
◇
人は弱い生き物
「在宅勤務は性善説で」と言われることがあります。25年以上前から在宅勤務の推進に携わってきましたが、性善説での在宅勤務には行き詰まりがあると私は考えています。
「従業員を疑え」という意味ではありません。人は弱い生き物ですから、家にいれば気が緩み、さぼってしまったり長時間労働になってしまったりする従業員はどんな組織にもいます。また、どんなに良い上司でも、部下の様子が見えない状況が続くと「さぼっているのでは」と不安になっても仕方がありません。疑いや不安が蓄積されて起こるのは、出社への揺り戻しです。実際、コロナ禍で在宅勤務を導入したものの、今は「出社せよ」となっている企業は少なくありません。
■生産性に課題…