なぜ今? 北陸電力が「臨界事故隠し」を忘れない記念日を制定

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土井良典
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 北陸電力(本社富山市)は、1999年6月18日に起こした志賀原発石川県志賀町)の臨界事故を約8年間隠蔽(いんぺい)した過去を心に刻むため、今年から6月18日を「安全と公正・誠実を誓う日」に制定した。

 同原発は2014年から、再稼働を目指して原子力規制委員会の審査を受けているが、長年の課題だった敷地内の断層をめぐる論点で前進を果たしたばかり。事故から10年や20年の節目でもない今年に突然、記念日を設けたことに、同社は、再稼働の動きとは無関係だと説明している。

 事故は、停止中だった1号機で手順書とは異なる操作を引き金に起きた。当時の所長らは「公表すると2号機の工程が遅れる」「作業員の被ばくはない」などとして、日誌を改ざんして事実を隠蔽。07年3月になって公表し、同社も「北電で最大の失敗」と位置づける。

 同社によると、安全を誓う日は、事故を経験していない若い社員らが増えるなか、21年6月に就任した松田光司社長が発案したという。発電所事務棟入り口近くに、事故や隠蔽の事実を説明したパネル10枚余りや、誓いを込めた鰐口(わにぐち)(青銅製、直径48センチ)を置いたアーカイブコーナーを新設した。

 鰐口には、茶道開始時に音を…

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