「仕組み債は効率いい」と前のめり 千葉銀・武蔵野銀、金融庁処分へ

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久保田侑暉 栗林史子 東谷晃平 中川透
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 証券取引等監視委員会は9日、リスクの高い金融商品「仕組み債」の販売をめぐり、千葉銀行(本店・千葉市)と傘下のちばぎん証券、武蔵野銀行(同・さいたま市)を行政処分するよう金融庁に勧告した。金融庁は業務改善命令などの処分を検討する。超低金利下で地銀が収益源にしてきた仕組み債の問題は、有力地銀の行政処分に発展する見通しになった。

 仕組み債の販売が問題視されるようになって以降、処分が勧告されるのは初めて。監視委の調べで明らかになったのは、顧客の利益を損なっても手数料を求めようとする3社の販売実態だ。

 仕組み債は金融派生商品デリバティブ)を組み込んだ債券で、高い利回りをうたうが、元本割れのリスクもある。販売側は比較的高い手数料を得られる、うまみがある商品だ。

 監視委によると、ちばぎん証券は、投資経験が乏しい顧客に対し、リスクを十分に説明せずに仕組み債を売った。千葉銀と武蔵野銀は、顧客の投資方針を十分に確認しないまま、高利回り性を強調し、ちばぎん証券で仕組み債を買うよう誘導していた。

 両行とも、ちばぎん証券に紹介した顧客が仕組み債を購入した際、手数料の一部を受け取れる決まりになっていた。行員の収益目標には、証券に紹介した客から得る収益も含めるようにしていたという。

 武蔵野銀では役員が支店長に対し、積極的な仕組み債の仲介を指示するなど、組織的な販売促進もあった。

 武蔵野銀とちばぎん証券に資本関係はないが、2017年から証券の仲介で業務提携している。

 監視委の調査に対し、両行の…

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    中川透
    (朝日新聞編集委員=経済、暮らしとお金)
    2023年6月10日10時41分 投稿
    【視点】

    顧客の半数は70歳以上。実家の親が地元の地方銀行員に勧められ、仕組み債を購入して損失を出していたら。そんなことを考えると、ぞっとします。  1カ月ほど前、仕組み債で損失が出たという匿名の読者の方から封書のお手紙を頂き、損失を家族にも言えず

    …続きを読む