英語信仰は「壮大なムダ」、言語学者の危惧 「日本語こそ国際語」

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聞き手・石山英明
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 学校での英語学習の早期化が進み、社会人でも英語を学ぶ人は多くいます。ですが、青山学院大学の永井忠孝教授(言語学)は、そうした風潮に疑問を感じると言います。「英語の害毒」(新潮新書)という著書もあり、「ある意味、日本語が一番の国際語だ」と語る永井氏に話を聞きました。

 ――すぐに仕事で使うわけでなくても英語を学ぶ人は多く、学習熱が高まっているように感じます。

 「まるで強迫観念のようです。私は外国語を学ぶ必要がないとは思っていません。ただ、いまのありようは、国を挙げて壮大なムダをやっているように感じます。仕事で使う英会話は、中学と高校で学んだ読み書きの基礎があれば、わりとすぐになんとかなります。仕事で実際に必要になってから勉強すればいいのです。一度落ち着いて、本当にいま英語を勉強することが必要なのか、冷静に自分に問いかけた方がいいと思います」

 「英語に時間を割くということは、他の必要なことを学ぶ時間が減るということです。英語も大事ですが、国語も数学も歴史も大事です。仕事で必要なことも英語だけではないでしょう。そこまで考えて、てんびんにかけて決めるならいいですが、英語習得のいい側面しか言わない英語産業やメディアに、あおられている面もあるのではないでしょうか。英語を特別視しすぎているように感じます」

 ――子どもの教育のために海外に移住する人もいますね。

 「子どものときの海外移住は、真の意味で英語が身につくケースもあり、そうすれば武器になりえます。ただ、そう簡単な道ではないことは、事前にちゃんと理解しておく必要があります」

 ――どういうところが簡単ではないのでしょうか。

 「子どもが英語を話せるよう…

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    佐倉統
    (東京大学大学院教授=科学技術社会論)
    2023年6月12日10時32分 投稿
    【提案】

    見出しに違和感があって読み始めたら、まったくまともなことをおっしゃっていた。永井教授は英語の早期教育も語学留学も完全に否定しているわけではなくて、それらの機会をものにして英語を本当に自分の武器にするのは相当な努力が必要と言う。それをすべての

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    小林恭子
    (在英ジャーナリスト)
    2023年6月12日20時58分 投稿
    【視点】

    非常に興味深いインタビューでした。 私も、見出しとなった「英語信仰は『壮大なムダ』、言語学者の危惧 『日本語こそ国際語』に目を奪われて、読み出しました。 私は、20年ぐらい前から英国に住んでいます。 英語学習が、日本に今住

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