藤井聡太名人は「将棋のネイティブスピーカー」言語脳科学者の洞察

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聞き手・真野啓太

 将棋の藤井聡太さん(20)が史上最年少で名人のタイトルを獲得し、羽生善治九段に続く史上2人目の七冠を達成した。将棋界の歴史を塗り替えてきた若き棋士は、どのように将棋を認識し、思考しているのだろうか。言語脳科学者で東京大学教授の酒井邦嘉さんに分析してもらった。

 ――藤井さんをひとことで表すとどうなりますか。

 「将棋の真のネイティブスピーカー」と言えるでしょう。

 ――どういうことでしょう。

 藤井さんの指す将棋には、言葉のような自然さがあるということです。「日本語と将棋のバイリンガル」と表現したこともあります。

 このように考えるようになったのは、藤井さんが小学1年のときのエピソードを聞いたときからです。藤井さんは対局後の感想戦で「この局面では、ここに歩を打たないと、こちらに勝ちがないから(歩を打った)」と説明したそうです。

 多くの候補の中からそれは良…

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この記事を書いた人
真野啓太
国際報道部
専門・関心分野
戦争、災害、ナショナリズム、テクノロジー