ドラッグ・ラグ解消へ 企業の「挑戦」促進を 厚労省検討会が報告書

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後藤一也
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 医薬品の安定供給のための課題や対策を議論する厚生労働省の有識者検討会は6日、「希少疾病や小児、難病の治療薬のドラッグ・ラグを解消するため、特許期間中は薬価を維持するなど、新たなインセンティブ(優遇措置)を検討すべきだ」とする報告書案をまとめた。

 検討会は、後発医薬品(ジェネリック医薬品)の安定供給、先発医薬品の企業の創薬力強化など、計13回にわたり国内の製薬産業の抱える課題について議論した。

 後発品業界では、2020年末から、別の成分が薬に混じったり、厚労省に届け出ていない製法で作ったりした問題が相次いで発覚した。

 このため薬が全国的に不足する事態になり、昨夏時点で、医薬品全体の28・2%が出荷停止または限定出荷の状況になった。後発品の供給不足はいまも解決していない。

 後発品産業の約190社のうち、上位8社で数量シェアの半分を占め、残りの185社でもう半分を分け合っている。報告書案は「少量多品目生産」によって「常に製造能力の限界に近い稼働状況」とした。

 そのうえで、十分な製造能力を確保できていないなど、「一定の要件を満たさない企業は市場参入できなくなる仕組みを検討すべきである」と厳しく指摘した。

 この指摘を受け、厚労省は今後、後発品産業の今後の方向性を議論する新たな会議体を設置する。

 後発品だけでなく、先発品分野でも日本は深刻な状態にある。世界の医療用医薬品の売り上げ上位100品目のうち、日本発は03年に12品目あったが、20年には9品目に減った。

 また、欧米では承認されているが、国内では未承認の薬は今年3月時点で143品目あり、うち86品目は国内での開発は進んでいない。

 世界から遅れて承認されるドラッグ・ラグが問題となっているが、国内では承認すらされない「ドラッグ・ロス」の懸念が、特に小児や希少疾病の分野で深刻になっている。

 報告書案は、「製薬産業は日本の基幹産業」としたうえで、「先発品企業がリスクを取って革新的医薬品の創出に挑戦することを促す必要がある」とした。

 大きな方向性として、先発品…

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