飲めるヤツのほうが稼ぐ? 日台韓で共同調査、国情も映したその結論

有料記事

田村建二
[PR]

 「酒は飲めたほうが、飲めない人よりも仕事ができてよく稼ぐ」。かつての日本では、そんなイメージがあった。海外からも以前、そんな趣旨の研究結果が発表されたことがある。実際のところはどうなのか。日本のほか、台湾や韓国の研究者が共同で、それぞれの地域に住む男性の実情を探った。

 東京大の川口大司(だいじ)教授と一橋大の横山泉教授(いずれも労働経済学が専門)が日本での調査を担当した。マーケティング会社に登録してアンケートなどにふだんから参加している25~59歳の1894人に協力を求めた。同じようにして台湾では926人、韓国では518人に尋ねた。

 川口さんらは今回、アルコールの消費量と月収の関係ではなく、「飲める体質かどうか」と月収との関係を主題に調べた。

量よりも体質を重視

 お酒を飲むことを通して仕事先とのコミュニケーションが促進されるなどの可能性があるが、単純に飲酒量だけを問題にすると、「自制心が強いために少量飲酒ですむ」「アルコール依存ぎみで、たくさん飲んでいる」「職業上、どうしても飲酒が伴う」といったように、「飲めるかどうか」以外のさまざまな要因が入り込み、結果が分かりにくくなってしまうためだ。

 飲める体質かどうかを調べるため、協力者にはアルコールパッチのセットを送った。アルコールを含む製剤を腕に貼ってもらい、はがした場所の皮膚が赤くなれば「お酒を飲めない」または「お酒に弱い」と判定する。

 ほとんどの人が「飲める」体質の欧米と異なり、日本などアジアでは一定の割合で、生まれつきの遺伝的な特徴によって「飲めない」人や「弱い」人がいることが分かっている。

 質問ではこのほか、飲酒量やどんな飲み方をするのか、週あたりの労働時間、教育歴などもあわせて聞いた。

韓国だけ異なる結果 理由は?

 日、台、韓の計3338人の回答をみると、全体の54%が「飲める体質」で、飲める人たちのほうが「飲めない・弱い」人たちよりも実際に飲酒頻度が高く、量も多いことが確かめられた。

 そして、年齢や教育歴などを…

この記事は有料記事です。残り813文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    佐倉統
    (東京大学大学院教授=科学技術社会論)
    2023年6月9日16時30分 投稿
    【視点】

    下戸なのでこの結果にはホッとしているが、韓国では飲めないと生きづらい社会状況にあるという地域差には納得できるものがある。今年の4月からサバティカル研修で韓国に滞在しているのだが、こちらの友人たちが会食を設けてくれたときにぼくがアルコールは飲

    …続きを読む