市民の差別発言、河村市長の会見詳報 制止について「言論の自由が」

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【動画】名古屋城復元めぐる市討論会で差別発言があったことに対し会見で見解を問われた河村たかし市長=三宅梨紗子撮影

 名古屋城天守の木造復元をめぐり、3日に開催された名古屋市主催の市民討論会で、エレベーター(EV)の設置を求める車いすの男性に対し、一部の参加者から差別発言があった。会場にいた河村たかし市長や市職員は、差別発言を制止しなかった。この件に関して河村市長は5日、定例の記者会見で見解を述べた。

冒頭発言(抜粋)

 参加された一部の市民の方から、他の参加者に対して差別的表現を含む不適切な発言があった。私は本当にあのときに聞こえとらなんだ。その場で制止すべきだったということもありますけど。僕は聞こえとらなんだであれですけど。あんまり言うと感じが悪いですけど、市民のみなさんが自由に発言する場だもんで。自由に発言するのが原則ですけど、まあ、言われているような差別発言があったとすれば、遠慮してくださいよと、とっさに言えるのかは分かりませんけど。すべきだったということは言えるだろうと。不快な思いをされないように十分なご配慮をお願いしますというみたいなことは言えば良かったんじゃないかなあと思いますけど。注意してやらせていただきます。役所もそうならんように、発言には十分お気を付けくださいということは言うべきだった。誠に申し訳ありませんでしたということでございます。

質疑応答 「基本的に表現の自由を大事にしようと思っている」

 ――討論会での「我慢せえよ」や「ずうずうしい」という車いすの男性に対する参加者の発言を差別と捉えていないのか。

 河村市長 「ずうずうしい」というのはあんまり覚えとらんな。

 ――「我慢せえよ」は差別発言だと思うが、市として止めるべきでなかったか。

 河村市長 難しいですけどね…

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    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2023年6月6日0時3分 投稿
    【視点】

    河村市長の発言は、まさに昨今問題となっている「言論の自由」「表現の自由」の「武器化(weaponization)」の典型例ではないか。もちろん、言論や表現の自由は民主主義社会において、死活的に重要な価値で、守られねばならない。しかし、重要で

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2023年6月5日22時39分 投稿
    【視点】

    「私はあなたの言うことに反対だが、それをあなたが言う権利は命をかけて守る」。18世紀のフランスの思想家、ボルテールの有名な言葉です。民主主義においては熟議が求められ、とりわけ多数決によって人権が侵されかねない少数者の意見が尊重されねばならな

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