卓上カレンダーの日付の下に、手書きのマークの数がだんだん増えていった。
「夕×」
青や黒のペンで、夫(当時62)が書き込んだものだ。
2021年8月は8回。
9月は6回。
10月は16回。
11月は21回。
カレンダーの大半が「夕×」で埋まった翌月、夫は自宅で倒れた。
出血性胃潰瘍で死亡した富山市の男性(当時62)が5月、長時間労働などによる労働災害と認定されました。消化器系疾患での認定は極めて異例で、弁護人らは救済拡大につながることを期待しています。
夫は血圧が高く、糖尿病の持病があった。看護師として働く60代の妻は、サラダや小松菜のあえ物、ひじきの煮物といった野菜中心の食事づくりを心がけ、夕食は2人で一緒に食べるのが日課だった。
「夕×」は「夕食はいらない」という意味だ。元は、飲み会などで帰りが遅くなる時に夫が記入した。
マークが増えたのは、夫の仕…