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カレンダー埋めた「夕×」夫は倒れた 休んでと言えなかった妻の無念

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山本逸生
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 卓上カレンダーの日付の下に、手書きのマークの数がだんだん増えていった。

 「夕×」

 青や黒のペンで、夫(当時62)が書き込んだものだ。

 2021年8月は8回。

 9月は6回。

 10月は16回。

 11月は21回。

 カレンダーの大半が「夕×」で埋まった翌月、夫は自宅で倒れた。

出血性胃潰瘍で死亡した富山市の男性(当時62)が5月、長時間労働などによる労働災害と認定されました。消化器系疾患での認定は極めて異例で、弁護人らは救済拡大につながることを期待しています。

 夫は血圧が高く、糖尿病の持病があった。看護師として働く60代の妻は、サラダや小松菜のあえ物、ひじきの煮物といった野菜中心の食事づくりを心がけ、夕食は2人で一緒に食べるのが日課だった。

 「夕×」は「夕食はいらない」という意味だ。元は、飲み会などで帰りが遅くなる時に夫が記入した。

 マークが増えたのは、夫の仕…

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    小林恭子
    (在英ジャーナリスト)
    2023年6月4日6時59分 投稿
    【視点】

    最愛の夫を亡くされた妻の方にお悔やみを申し上げます。 「まじめで責任感が強い」、とても素敵な方だったことが想像されます。 相手の気持ちも考えて、「休んで」とは言えなかった妻の方の気持ちが伝わってきました。 1つ、私たちが忘

    …続きを読む
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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2023年6月4日10時19分 投稿
    【視点】

    取材先の中小企業のあちこちで「お金が無いから人を減らさなきゃいけない。しかも使える戦力は高齢者。彼らに過重労働を強いてしまう。これがいまどきの【少数精鋭】の実態だ」と聞く。 それを裏付ける内容の話で、構造的に改善の見込みもなく、とてもつら

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