藤井聡太名人、最強AI開発者が見た強さの理由 期待高まる藤井定跡

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聞き手・加藤勇介
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 40年ぶりに史上最年少記録を更新する20歳10カ月で名人位を獲得した藤井聡太新名人。羽生善治九段以来の七冠を達成し、史上初の八冠制覇も視野に入る。その圧倒的なまでの強さの理由はどこにあるのか。20年の世界コンピューター将棋オンライン大会、22年の世界将棋AI電竜戦で優勝し、藤井七冠が研究にも使用する将棋ソフト「水匠」開発者の杉村達也さんに聞いた。

 ――藤井名人と水匠が対局したらどうなるのでしょうか。

 「2017年の電王戦で将棋ソフト『PONANZA』が佐藤天彦名人(当時)に勝ちました。この時点ではPONANZAと佐藤名人のレーティング差が800ぐらいで、99%の確率でPONANZAが勝つ実力でした」

 「この時のPONANZAに対し、現在の将棋AIで2強となっている『水匠』と『dlshogi』は計算上では99%以上の確率で勝利します。もちろん人間もこの間に強くなっていますが、AIほどの成長速度ではない。人間が勝つのはたぶん無理だろうと思います」

 ――でも藤井名人は「AI超え」と話題を集める妙手を指されたことが多々あります。

 「AIも完璧ではありません。野球に例えると、AIはまず凡退はしません。しかし全打席で本塁打を打てるわけでもない。AIが二塁打止まりだった打席に対し、人間が本塁打を放てば『AI超え』となります。一手一手の局面のみに限れば、藤井名人のような読みの力がすごい棋士の方だと『AI超え』の局面は生まれやすくなります」

 「ただ、初手から指すと凡退がないAIに対し、人間は本塁打があれば三振もある。AIは平均値としてミスが少ないので、一局を通じるとやはりAIに分があります」

 ――そのAIを、今ではほぼ全ての棋士が研究に使われています。東大大学院でAIを研究し自ら将棋AIを開発した谷合廣紀四段のような棋士もいます。そんな中でもなぜ藤井名人は飛び抜けた成績となるのでしょうか。

 「正直、そこは不思議なとこ…

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