相次ぐアート作品の無断流用やイラストの類似… どこまでがセーフ?

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西田理人 編集委員・大西若人
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 アート作品の無断流用やイラストの類似疑惑などで、官公庁や大手企業が謝罪する事例が相次いでいる。法的には必ずしも問題があるわけではないという指摘もあるが、専門家らからは「表現に対するリスペクトが欠けている」との声が上がる。

 「大きな犬の自作イメージが出てくるのだが、使用を許可したこともない、というか許可自体を求められたこともない」

 大阪府・市のカジノを含む統合型リゾートの整備計画が国の認定を受けた4月14日、世界的な現代美術家奈良美智さんがツイッターで訴えた。事業者が作成し、府市の公表資料にも掲載された施設のイメージ図と動画に、自身の大型作品「あおもり犬」の図像が無断で使われているとの指摘だった。ツイッター上では「ルール的に完全にアウト」などと、府市や事業者への批判が瞬く間に広がり、事業者の日本MGMリゾーツとオリックスは17日、不適切な使用を認めて謝罪した。

 一般に著作権者の許可なく作品のイメージを使うことは、著作権侵害となる可能性がある。だが、アート関連の法律に詳しい木村剛大弁護士は「今回は慎重な検討が必要」と言う。著作権法第46条では、美術作品が「一般公衆に開放されている屋外の場所」などに「恒常的に設置されている」場合、原則として自由利用を認めているからだ。

「自由利用」が認められる場合も

 屋外の公共空間に置かれ、誰もが見られる彫刻や壁画については、写真をSNSにアップしたり、書類に画像を掲載したりしても、基本的に法律違反には問われない。

 となると、「あおもり犬」の場合はどうなのか。

 青森県立美術館の屋外スペースに展示されたこの作品は、中庭のような奥まった場所にあるものの、開館時間は誰でも無料で見ることができる。木村弁護士は「これを屋内と一体と考えるか、屋外として自由利用を認めるかどうかは、議論の余地がある」と話す。作品を見られるのは開館時間に限られるが、過去の判例を踏まえると、それでも「恒常的に設置」には当たるという。つまり、「自由利用」が認められる可能性もある。

 ただ仮に自由利用が認められ…

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