CO2実質ゼロの都市ガス 茨城県守谷市と土浦市が公共施設に導入

福田祥史
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 地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量が実質ゼロになる都市ガスがある。「カーボンニュートラル(CN)都市ガス」と呼ばれる。このガスを、茨城県守谷市土浦市が4月から公共施設の一部で使い始めた。何が変わったのかというと――。

 「ガス自体は従来と同じものです」。守谷市の担当者はまず、そう説明した。では、なぜCO2排出量が実質ゼロなのか。理屈はこうだ。

 CN都市ガスは「カーボンニュートラルLNG(液化天然ガス)」が原料になる。このLNGも従来のLNGと同じで、採掘から輸送、都市ガスの製造、燃焼に至る過程でCO2は排出される。だが、供給元の企業が実施する森林保全活動などによるCO2削減効果と相殺することにより、このガスを使ってもCO2は発生しないと見なされるのだという。

 守谷市は、都市ガスを使っている市内17の公共施設のうち、市役所庁舎と公民館2カ所にCN都市ガスを導入した。市によると、この3カ所での2021年度のガス使用量は計73立方メートルで、それによるCO2排出量は年間約204キログラムだった。CN都市ガス導入で、この分が削減できる計算だという。

 CN都市ガスは、森林保全などのコストが上乗せされるため、割高になる。ただ、担当者は「この3カ所で考えると、予算を追加しなければならないほど現状よりもガス代が膨らむわけではない」としている。

 土浦市は市中心部の市立土浦小学校に導入した。市によると、同小ではエアコンと調理実習にガスを使っており、21年度の使用量から算出したCO2削減量は年間約87トンになるという。

 両市とも2050年CO2実質排出量ゼロに取り組む「ゼロカーボンシティ」を表明している。CN都市ガス導入でCO2排出削減を進めるとともに、「環境問題への取り組みをアピールできれば」(守谷市)、「児童・保護者への環境教育や啓発にも役立てたい」(土浦市)という。いずれも、今後さらに導入先を広げていきたいとしている。(福田祥史)

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