鉄筋4階建て、7000平米、官邸徒歩1分 首相公邸の住み心地は…

佐藤瑞季
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 岸田文雄首相は、政務秘書官を務める長男の翔太郎氏と首相公邸で暮らしている。長く官邸として使われた建物で日本政治の中枢だった。5・15事件や2・26事件など歴史の舞台にもなった。公的な場所として、小学生や中学生の見学も受け入れてきた。

 首相公邸は首相官邸と同じ敷地内にあり、徒歩1分ほどの距離だ。

家賃、光熱費の負担は

 官邸が、首相が主に執務や各国首脳や経済人らとの面会をする「仕事場」であるのに対し、公邸は首相の「住まい」にあたる。

 災害の発生時などはすぐに官邸に駆けつけることができるが、公邸で執務にあたることもある。警備上の理由や危機管理のために住むことが多く、首相も岸田政権が発足した2021年12月、東京・赤坂の議員宿舎から移り住んだ。

 現在の公邸は1929(昭和4)年に首相官邸として建てられた。2002年に現在の官邸が完成したのに伴い、86億円をかけて新公邸として改修された。鉄筋4階建てで、広さは約7千平方メートル。家賃や光熱費は国が負担している。内閣府によると、23年度予算では管理維持費に1億6千万円が計上されているという。

 官邸だったときに閣議で使われていた円卓は今も残っていて、赤いじゅうたんが敷かれた西階段は昨年8月の岸田内閣改造の際に、記念撮影の場所として使われた。

幽霊のうわさ絶えず

 犬養毅元首相が暗殺された1932(昭和7)年の5・15事件や、青年将校がクーデター未遂を起こした1936(昭和11)年の2・26事件の舞台にもなった。2・26事件の青年将校がたき火をした後や弾痕も残っているとされ、幽霊が出るといううわさも絶えない。

 安倍内閣は2013年5月、首相公邸に幽霊が出るとのうわさが事実かを問う質問主意書に対し、「承知していない」とする答弁書を閣議決定した。安倍晋三首相(当時)は公邸に住まず、都内の自宅から官邸に通っていた。(佐藤瑞季)

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