リニア山梨工区 静岡知事が山梨知事に謝罪 連絡密に

黒田壮吉
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 リニア中央新幹線の山梨工区でJR東海が実施しているボーリング調査への対応について、川勝平太知事は24日、都内で関東地方知事会に出席した際に山梨県長崎幸太郎知事に直接謝罪した。静岡県がJR東海に調査中止を要請する文書を出したことに対し、長崎知事が事前の説明がなかったなどとして不快感を示していた。携帯電話の番号も交換し、密に意思疎通を図ることを確認したという。

 静岡県はボーリング調査で山梨側への静岡県内の地下水流出を懸念し、今月11日に調査中止を文書で要請。これに対して長崎知事は翌日の会見で「山梨県内の活動について、頭越しにおっしゃるのはご遠慮願いたい」と反発。さらに16日にも「他県がなにかしら直接的に権限の行使をされるということは極めて異例。違和感がぬぐいきれない」などと苦言を示していた。

 両知事によると、この日、川勝知事は「山梨の行政権に抵触するかのようなことをおこし大変申し訳なかった」などと謝罪した。長崎知事が沿線自治体でつくる「建設促進期成同盟会」で問題を共有することを提案し、川勝知事は「良いアイデアだ」などと応じたという。

 一方で、川勝知事は取材に対し、調査の中止要請を撤回しない意向を改めて示した。「JR東海と静岡県のやりとりの中で、まともな回答が返ってこないので中止を要請している。山梨県にご理解いただくため、コミュニケーションを密にしたい」などと話した。(黒田壮吉)

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 リニア中央新幹線の山梨工区のボーリング調査について、静岡市の難波喬司市長は24日、定例記者会見で「(静岡と山梨の)県境まで掘っても問題はない」とする考えを示した。

 個人的な見解と断った上での発言だった。静岡県は、ボーリングに伴って県内の地下水が山梨側に流出する懸念があるとして、県境手前の300メートル以内で掘削を行わないようJR東海に求めている。難波氏はこれについても、「賛同しない」と述べた。

 難波氏は工学博士号を持っており、その見地から圧力と流水の関係について説明。大断面の本坑トンネル掘削に比べてボーリング掘削は長尺で口径は小さいと指摘した上で、「流れ出る水はそれほどの量ではない」との見方を示した。

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