え、こちらの誤解だったの? 政治家らが多用する「フェイク謝罪」

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石川智也
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 誤解を与えたとすれば申し訳ない――。もはや釈明の言として定着した感のある言葉ですが、耳にするたび、釈然としない思いがこみ上げます。えっ、それってこちらの誤解だったの!? 社会言語学者の松田謙次郎・神戸松蔭女子学院大教授(61)に、謝罪表現について聞きました。

 谷公一国家公安委員長が「うな丼を食べた」発言の釈明でやはり「誤解を招きかねない発言だった」と使いましたが、政治家や企業トップの謝罪会見で、相変わらず頻繁に登場する言い回しですね。「舌足らずだった」なども含めて、こうした表現を私は「フェイク謝罪」と呼んでいます。差別発言でも軽率な発言でも、問われているのは発言者の考えでありスタンスなのに、表現の稚拙さやコミュニケーションの問題にすり替えてしまっている。さらには、受け手の側が文字どおり「誤った理解」をしているのであって自分は非難されるいわれはない、という責任転嫁と加害の上塗りにすらなってしまっています。

 ホンネをポロリと漏らしてし…

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    西岡研介
    (ノンフィクションライター)
    2023年5月31日11時19分 投稿
    【視点】

    「誤解を招いたのであれば申し訳ない」 政治家のセンセイ方が好んで使う、「悪いんは、誤解したアンタらのほうやがな……」とでも言いたげなこのセリフ、「フェイク謝罪」とは言い得て妙。その上で、名付け親の松田教授は、話し手が今後、このフェイク謝罪を

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