「ゼレンスキー一色に…」悩んだ官邸 各国の分裂避けて探った着地点
西村圭史
主要7カ国首脳会議(G7サミット)が終わった21日夕、広島平和記念公園にある国際会議場の一室で岸田文雄首相がウクライナのゼレンスキー大統領を待っていた。姿を現すと握手を交わし、こう語った。
「戦時下の困難な状況の中、遠路、広島までお越しいただいたこと。G7広島サミットに参加いただいたこと。心から感謝し、そして歓迎を申し上げたい」
ゼレンスキー氏が口を開いた。「対面で参加することができて、大変うれしい。今回のサミットで、これだけウクライナに注目をいただいたこと。一生忘れることはない」と応じた。
ゼレンスキー氏が対面でサミットへの参加を希望している――。ウクライナの意向が外交ルートを通じて伝えられたのは、大型連休前の4月下旬だった。
もともと、3月21日に首相はウクライナを電撃訪問し、ゼレンスキー氏と会談した際、サミットにオンラインで参加するよう要請、了承を得ていた。サミットの準備は、オンライン参加を前提に進んでいた。
直後の首相官邸。外務省幹部…