マイナ保険証「ずさん」な実態 赤の他人表示…役所たらい回しの末に

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村井隼人
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 「私のじゃない」

 4月中旬、30代の女性はかかりつけの医院の受付で目を疑った。マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」を使ったところ、画面に表示されたのは全くの別人の名前だったからだ。

 受付の女性から「結婚されて健康保険も変わられました?」と尋ねられたが、女性は身に覚えがなった。

総務省デジタル庁厚労省とたらい回しに

 表示されたのは、下の名前の読みは同じで、姓が違う。加入している健康保険の名前も違った。受付の女性も「どうしたらいいんだろう。役所かな? 総務省かな?」と混乱していた。

 その後、いつもの薬をもらおうと薬局に行った。再びマイナ保険証を使うと、また別人の薬剤の処方履歴が表示された。

 薬剤師から「薬の飲み合わせはとても大事なんです。軽い薬同士でも飲み合わせが悪いと命の危険に及ぶこともあります」と説明された。そして「何度も何度も確認して恐縮なのですが、(身に覚えがない)●●病院で▲▲というお薬をもらっていないんですか」と念を押された。

 なぜ別人の情報が登録されて…

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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2023年6月9日19時56分 投稿
    【視点】

    村井記者は「各省庁と関係団体が問題を検証して、原因を説明しなければ同じことが繰り返されると感じている」と書いているが、原因は「システム構築・データチェック・データ登録がちゃんとした手順を踏まず、整合性を意識せず個別に行われたこと、また、それ

    …続きを読む