来春の小学校教科書、若手も教えやすい工夫 授業の準備を省力化
来春から小学校で使われる教科書は、これまで以上に「先生が教えやすい工夫」が凝らされている。世代交代で経験の浅い教員が増えたことや、業務の増加と教員不足で先生たちの忙しさが解消されない現状が背景にある。
東京書籍の社会科の教科書は、記載されたQRコードをタブレット端末で読み込むと、メニュー画面からワークシートにアクセスできる。新たなテーマを学ぶ前に、調べることなどを書く「学習計画」や、勉強後のまとめをするシートだ。印刷して児童に書かせても、端末上でアプリなどから読み込み、子どもたちに入力させてもいい。
担当者は「社会科の指導は苦手、という声を若い先生から聞く機会が増え、スムーズに授業を進められるように工夫した」と話す。
さまざまな職業の大人たちに話を聞くコーナーも、文字による情報だけでなく、QRコードからインタビュー動画を見られるようにした。子どもたちの興味を動画で喚起し、授業に集中しやすくする狙いもあるという。
教育出版も、QRコードを読み込んで表示する地図や年表などの資料を増やした。教員は、資料を拡大コピーして黒板に貼りつけるなどの作業をせずに、授業を進められる。
担当者は「経験が浅かったり、授業準備に時間がさけなかったりする先生にとって、授業がしやすい教科書を目指している。デジタルコンテンツの活用で、授業レベルの底上げになれば」と話す。
日本文教出版の社会科では、子どものキャラクターが随所で問いや考えるヒント、学習で分かったことを発言する図柄を載せた。「『この子、こんなこと言っているね』などと、先生が児童に問いかけるとっかかりに使ってもらうため」という。
社会科以外の教科でも、授業の進めやすさを意識した取り組みは多い。
英語では、光村図書がミニア…
- 【視点】
とても良い変化だなと思います。デジタルの良さを生かし、教科書から直接関連する動画が視聴できたり、ワークシートをダウンロードできれば準備の時間は削減されますし、「教えることを支える」ことで、苦手教科への対応など心理的なプレッシャーの軽減にもつ
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