ワクチンの「公平な分配」 G7、知的財産権の対立乗り越えられるか
神宮司実玲
新型コロナウイルスの教訓を生かし、次のパンデミック(世界的流行)に備えられるか――。広島で19日に始まる主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、ワクチンを低中所得国などへ行き渡らせる「公平な分配」も議論される。ただ、途上国と先進国の間には医薬品の知的財産権をめぐる対立があり、解決に向けた道筋を示せるかどうかが問われている。
コロナ禍のパンデミックでは、豊かな国がワクチンや治療薬などを独占し、途上国に回らない「ワクチン格差」がはっきりした。より早期に公平に行き渡れば、流行の収束も早まったとの指摘もあり、次のパンデミックへ備える上で重要な課題となっている。
ただ、公平な分配が実現するかどうかは、ワクチンなど医薬品をめぐる知的財産権の今後の扱いが大きな鍵を握っている。
途上国側は、必要な医薬品は新薬を開発した先進国でなくとも、それぞれの自国内で生産できるよう知財保護の一部免除などを求めている。ワクチンを調達しやすくするためだ。一方、先進国側は、製薬業界を中心に知財で稼ぐ民間企業を守りたいとの考えもあり、知財の保護を訴えている。
G7首脳宛ての書簡
19日には、国際NGOネッ…