鉱山の町を支えた真っ赤な機関車 鉄道ファンの手でその雄姿が復活

井上潜
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 かつて国内有数の鉱山を有し、物流の拠点として栄えた秋田県小坂町。この地で約40年にわたり貨物列車を牽引(けんいん)した旧小坂鉄道の機関車DD132が14日、傷んだ箇所を補修する塗装整備を終え、鮮やかな真っ赤な車体がお披露目された。寝台特急「あけぼの」とともに小坂鉄道レールパークで展示されている貴重な機関車で、保存会や各地から駆けつけたボランティアが半年がかりで仕上げた。

 14日、パークの機関車庫に細越満・小坂町長、パークを運営する小坂まちづくり株式会社の森浩美社長らが集まった。車庫の照明を浴びて輝きを放つ車体に製造銘板が取り付けられると、拍手が起きた。小坂鉄道保存会の千葉裕之会長は「3月中に仕上げる予定が、いざ整備作業を始めると範囲が広がった。その分、きれいに仕上がりました」とあいさつした。

 コロナ前は運転体験などができた人気の車両だったが、コロナ禍に伴い、柵越しに見学するだけに。冬の休業期間にあわせ、劣化した車体を塗装しなおした。

 旧小坂鉄道は増え続ける小坂鉱山の貨物に対応するため、1909(明治42)年に営業を始めた。客貨混合が基本で、小坂と大館間を結んだ。鉱山の縮小や車社会到来で、94年に旅客列車が、2009年に貨物部門も廃止になって、100年の歴史に幕を閉じた。

 DD130形ディーゼル機関車は1967年から68年に3両が新造された。当時の国鉄で全国的に運用されていたDD13形をベースにした、運転台が前後に二つある珍しい機関車だ。劣化が進んだ3両のうち、比較的エンジンの状態が良いDD132を整備した。

 約50万円かけ、製造年が書かれた製造銘板のめっき加工は外注したものの、古くなった塗装やさびをはがしたり、パテで補修したりする作業などほとんどが手作業という。東京や神奈川などからも鉄道ファンらがボランティアとして参加し、のべ151人が昨年11月から作業に取り組んだ。

 森社長は「作業にあたってくれた方たちに心から感謝したい。機関車の大きさと、(機器などの)いくつもの細部で成り立っていることを実際に見に来て感じて欲しい」と話していた。

 レールパーク(0186・25・8890)の営業は11月23日まで(午前9時~午後5時、最終入場は午後4時半)。入園料は大人600円、小中生300円。(井上潜)

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