変わる時代に探す新しい一手 私は読者と共に鳴っているか 高橋純子

有料記事多事奏論

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記者コラム「多事奏論」 編集委員・高橋純子

 よっこらしょっ。水曜から土曜へ引っ越しです。週末向きの人間ではない自覚はないではないですが、ナイスなサタデーめざして刻苦勉励粉骨砕身いたします。

 さてこの4月、「NHKのど自慢」がバンドの生演奏をやめてカラオケになった。当欄で以前、司会者が「夫さん」を使うようになったことを称賛したように、私は「のど自慢」のお茶の間への影響力を高く見積もる者なので、到底看過できない。

 カラオケではどうしたって「ひとりよがり」が際だってしまう。「自分の歌でみんなに元気を与えたい」「入院中の祖母を励ましたい」。名もなきひとびとの素朴すぎる思いは、プロの演奏に支えられてこそ、遠くの他者にも届き得るものとなっていたのだ。まさに協働。そして共鳴。1+1=3のミラクルが発現する可能性、それを全国のお茶の間に届けてきた歴史を断って切った公共放送。誤った判断だと私は思う。誰がために鐘は鳴るんだ? カーン。

 翻って朝日新聞は、朝日新聞記者である私は、読者と共に鳴っているか。

 そんな思いを抱えて5月3日、東京・有明で開かれた憲法集会を取材した。主催者あいさつで高田健さん(78)が1978年の「朝日歌壇」に載った歌を紹介していた。

 徴兵は命かけても阻むべし母…

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