LGBT法案、自民が修正案了承 保守派に配慮、性自認→性同一性に

千葉卓朗
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 性的少数者への理解を広めるための「LGBT理解増進法案」について、自民党は12日、法案に反発する保守派議員らに配慮した修正案を党内会合で事実上了承した。週明けに総務会で正式決定し、19日に広島で開幕する主要7カ国首脳会議G7サミット)前に議員立法として国会提出する。

 修正案は、2年前に自民も含む超党派議員連盟を中心に作成した同法案にある「差別は許されない」という文言を「不当な差別はあってはならない」に、「性自認」という言葉を「性同一性」に変えた。さらに、「学校の設置者の努力」という独立した項目を削除し、事業者の項目と一体化させた。「子どもに教える必要はない」などの意見が複数出たことを踏まえた修正とみられる。

 伝統的家族観などを重視する保守派議員らの主張に対応した。自民は修正案を週明けの総務会で正式決定し、公明党とも調整して国会に提出する構え。性的少数者の人権・権利保護もテーマになるG7サミットの前に提出することで、議長国としての姿勢を示すねらいがある。

 会合終了後、法案への「慎重派の最右翼」と自らを称す西田昌司参院議員は「法律によって、一部の運動団体が国民を分断するような、道具に使うことがないということを望んでいる」と指摘。国会での十分な審議時間が必要だと語り、「懸案事項を提案者側が説明することが一番大事だ。サミットの前に成立するなんてことはあり得ない」と記者団に述べた。

 超党派議連会長で法整備に前向きな岩屋毅防衛相は「性同一性」と文言修正について、「性自認のときとほとんど変わらない定義の仕方になっている」として修正案に一定の評価をした。自民党内の手続きが終わり次第、超党派議連を開き、野党に法案への協力を呼びかける考えを示した。

 野党は、「超党派で努力を重ねて合意案を作ったにもかかわらず、与党が自分たちだけで法案を出そうとするのはあまりにも身勝手だ」(立憲民主党西村智奈美代表代行)などと批判しており、G7サミット前の成立は困難な情勢だ。自民は会期内成立を視野に入れている。(千葉卓朗)

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