外国人の生存権、どう保障する 生活保護を利用できるのは一部だけ

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石川友恵

 日本に住むガーナ人の男性が生活保護の利用を求めて自治体を相手に裁判を起こしている。透析治療中で母国に帰れず、働くことも認められない状況で、「外国人にも生きる権利を保障してほしい」と訴える。在留外国人が過去最多となり、困窮する人も増えるなか、生活保護を利用できる人は限られている。外国人の生存権をどう保障していくのか。課題は残されたままだ。

 8年前、ガーナから留学生として来日したシアウ・ジョンソン・クワクさん(32)。自動車の整備技術を習得して母国で伝えたいと夢見た。日本語学校を卒業し、兄が日本で設立した車の輸出入会社やパン屋で働いた。

 ところが2019年、慢性腎不全と診断された。週3回の透析治療が欠かせなくなった。

 在留資格は医療をうけるための「特定活動」に変わった。この資格では就労ができない。収入を得る方法がなく、現在は支援団体から家賃や食費、光熱費など生活費月約5万5千円を支給されて暮らしている。

 母国での透析治療は高額で、一部の富裕層しかうけられない。帰国する長時間のフライトに耐えるのも難しい。生きるためには日本で暮らすしかない、という。

2度の申請も却下 「生活保護」対象外に

 21年7月と同11月、2度にわたり居住する千葉市で生活保護を申請した。だが「外国人は生活保護法に規定する国民に該当しない」として却下された。千葉市は「係争中の事案であるため、コメントは差し控える」としている。

 外国人の生活保護の利用について、旧厚生省は1954年に次のような通知を出した。

 「生活に困窮する外国人に対…

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