マスク製造参入は「正解だったのか」 国難に立ち向かった町工場の今
笹山大志
4月下旬、兵庫県尼崎市にある工場4階の薄暗い一室。「ROLLER MACHINE」とプレートが貼られた大型機械は稼働していなかった。
新型コロナウイルスの感染拡大が国内で始まった3年前、海外から輸入したマスク製造装置だ。
「マスク製造は他の経営者には勧められない。ビジネスにまったくならないので」
ここでマスクをつくるショウワの社長、藤村俊秀さん(52)はそう漏らした。
「駄目なら辞めたらいい」。そんな思いで製造に参入したという藤村さん。待っていたのは苦難の道のりでした。町工場のコロナ禍の歩みを取材しました。
業務用洗浄機のメーカーで…
- 【視点】
経済安全保障の議論では、コストがどうであっても供給の多元化を進め、リスクに備えるということが議論されている。それはそれで正しいのだが、この町工場のように、だれかがコストを負担しなければならず、その負担が「国難」に立ち向かうために利害を度外視
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