「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」というポリシーのもと、世界を旅するノンフィクション作家の高野秀行さん。フランス語やスペイン語のみならず、アフリカ・コンゴのリンガラ語やミャンマーの少数民族のワ語といった珍しい言葉も含め、これまで25以上の言語を駆使して現地の人たちとコミュニケーションを深めてきました。そのコツは、「具体的なシチュエーション」を想像し、「リアルな表現」を繰り返すことだといいます。
――これまで学んだ言語の中で最も難しかったのは何ですか?
「ソマリ語ですね。アフリカ東部のソマリアに『ソマリランドという謎の独立国家がある』と知って、2009年に行ってみたんです。初めての訪問後、改めてちゃんと学ぼうと思い、日本に住んでいるソマリ人を探し出して『教えてくれ』と頼みました」
「ソマリ語って、ほかの言葉と比べて文法がとても変なんです。『私は日本から来た』の『日本から』を英語にすると『from Japan』で、『from』は名詞の前にきますよね。ところがソマリ語は、『from』が動詞の前にくるんです。日本語に直訳すると『私から来た日本』という形になります」
「あらゆる助詞や前置詞が、名詞ではなく動詞につくので、理解するのにとても時間がかかりました。『そんな言語あるのか』と」
――そんなソマリ語を、どうして勉強しようと思ったのですか。
「現地の言葉を話すと、場が盛り上がるんですよ。これは早稲田大学の探検部だった20代のころ、アフリカ・コンゴの奥地で『ムベンべ』という謎の巨大生物を探すためにリンガラ語を学んだときから変わりません。コンゴでは公用語としてフランス語が使われているので、意思疎通するにはフランス語で十分でした。でも、片言でもリンガラ語を話すと、すごく驚かれたりウケたりしたんです。外国人はみな、フランス語を使っていたからでしょう」
「『意思疎通する言語』と『仲良くなる言語』を使いこなす快感を知り、僕の中で『語学ビッグバン』が起こりました。それがいまも、一番のモチベーションです」
「勉強が嫌い」なので必要な言葉から
――具体的に、どのように勉強されたのですか?
「僕の先生はみんな素人です…
- 多鹿ちなみ
- 経済部
- 専門・関心分野
- エネルギー政策、人権、司法
- 【視点】
アメリカ人の知人の言葉、日本人は「自分の言いたいことが全く整理できていない」、耳が痛いですがおっしゃるとおりかもしれません。英会話教室でも自己紹介だけ流暢な人とかいました。私も英語などで何か訴えたいことがあるかというと、正直思い浮かびませ
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