異国の寺に眠る元米兵が訴えた憲法9条の大切さ 受け継ぐ住職の思い
石川県加賀市山田町の浄土真宗「光闡坊(こうせんぼう)」に、14年前に亡くなった元米海兵隊員、アレン・ネルソンさん(享年61)が眠る墓がある。生前、憲法9条の大切さを訴え続けたといい、友人だった同寺の佐野明弘住職(65)は、ネルソンさんの著書などを翻訳し、国内外に伝える活動を続けている。
ネルソンさんの墓は本尊の「床下」にある。本尊の裏手からはしごで降りると、高さ1メートルほどの薄暗い空間がある。目の前にある木の開き戸を開けると「釈阿蓮(しゃくあれん)」と書かれた墓石があり、その下にネルソンさんは眠る。
初めは、本尊の阿弥陀仏の台に納骨していた。生前、ネルソンさんがいつもしゃがみこんで考えごとをしていた場所だからだ。
だが、妹が訪れた際に「アフリカン・アメリカンにとっては『大地は母』なんです。地面に帰してほしい」と泣いて頼まれ、今の形になったという。
ネルソンさんは1947年、米ニューヨーク・ブルックリンに生まれた。18歳で海兵隊に入隊し、沖縄のキャンプハンセンでの訓練を経てベトナム戦争に参加した。その経験から心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患い、米国に帰国後も克服に20年余りかかったという。95年に沖縄で起きた暴行事件に心を痛め、再び来日し、日本各地で講演活動を始めた。
「女でも子どもでも、みんな野蛮人で、放っておけば私たちを殺しに来る獣なのだと、私は思っていました」。ベトナムで犯した過ちを語った。
沖縄駐留時の経験も語った…