戦中に略奪の「聖母子」、オークションで見つかる ポーランドに返還

岩田恵実
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 第2次世界大戦中にポーランドからドイツによって持ち出され、遺失品となっていた16~17世紀の絵画「聖母子」が日本国内で見つかり、ポーランド側に無償で返還された。31日、東京都目黒区のポーランド大使館で引き渡し式が開かれた。

 昨年1月、東京で「聖母子」がオークションにかけられていたのをポーランドの文化・国家遺産省の職員が発見した。専門家が調べたところ、16~17世紀に活躍したイタリア人画家アレッサンドロ・トゥルキの作品で、戦時中の1940年にポーランド南部の邸宅からドイツが略奪した作品と裏付けられたという。

 同省によると、戦時中、ドイツが欧州から略奪した美術品は50万点以上に上るとされ、ポーランドは世界中のオークションで遺失品を探し、返還を求める事業を続けてきた。同国の絵画作品が日本で見つかるのは初めてという。調査の結果、90年代の終わりに米ニューヨークのオークションで売却されたこともわかったが、日本に来た経緯は判明しなかった。

 引き渡し式に参加したパヴェウ・ミレフスキ駐日ポーランド大使は「日本とポーランドの100年以上続く友好の象徴。友好のエピソードの貴重な1ページになる」と話した。絵画は今後、首都ワルシャワで展示される予定という。(岩田恵実)

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