AIで角換わりが終わった? 藤井聡太竜王「こちらの立場としては」

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メディア空間考 高津祐典

 「角交換と言う戦型が終わった」。将棋ファンには衝撃すぎるそのツイートに、人工知能(AI)が将棋の真理解明に近づいたのかもしれないと驚いてしまった。

 将棋は序盤、どの駒をどう使うかによって幾つかの「戦型」に分類することができる。ここで言う角交換は、早々に相手の角と自分の角を交換する「角換わり」を指し、有力な戦型の一つとして頻繁に指されている。

 その主力戦法について、将棋ソフト・やねうら王の公式アカウントが「終わった」とツイートしたのだ。

 角換わりの「腰掛け銀」という条件下で将棋AI同士が対局すると、何度やっても先手が有利になる。つまりAI将棋の世界では、先手は必勝になる、ということらしい。

 むりやり野球にたとえれば、ある条件でスライダーを投げれば必ず打者は三振してしまう、というような感じだろうか。

 最強クラスの将棋AI・水匠を開発した弁護士の杉村達也さんは、やねうら王のツイートを引用しながら「(後手番のAIは)将棋の真理と対峙(たいじ)している気持ちに陥っているのではないでしょうか」と追記した。

 本当に角換わりは「終わった」のだろうか。

 いま最も角換わりという戦型に精通している棋士に、見解を聞いてみたいと思った。名人戦第4局から一夜明け、囲み取材が一段落したタイミングで「AI将棋界で角換わりが先手番が必勝だと言われているのですが、どう感じますか」と尋ねると、藤井聡太竜王は笑顔を浮かべた。そして思考を数秒間巡らせたあと、驚くほど冷静な言葉を返してくれた。

角換わりは終わったのか。藤井聡太竜王に話を聞きました。そして将棋AI開発者の杉村達也弁護士の話から、藤井竜王のすごさをさらに実感することに。

 「そうですね……。何という…

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