全国で高まる「渇水リスク」利根川で早くも危機感、対策強化する福岡
地球温暖化の影響で雨量の変動幅が大きくなり、洪水だけでなく、渇水のリスクも高まっている。大雨の頻度が増える一方、雨が降らない日も増えているためだ。国や自治体は危機感を高め、対策を強化している。
4月20日に開かれた利根川水系の渇水対策連絡協議会の幹事会。流域の1都5県と国の担当者が参加するなか、国土交通省関東地方整備局の武藤健治・広域水管理官が注意を呼びかけた。
「昨年度からの少雨で、3月には上流のダム群の貯水率が36%に低下した」。過去に取水制限へ踏み切った貯水率に迫る水準だという。
山間部の積雪も少なく、水源地の尾瀬沼地点では平年の半分程度。雪解けも早いため、関東の広い範囲で今後の水不足が懸念されるという。武藤氏は幹事会で「地球温暖化の影響とみられる」との言葉を繰り返した。
実際、温暖化の影響が顕著になってきている。京都大の立川康人教授(水資源工学)によると、世界の気温が上昇した結果、降雨パターンが複雑に変化し、雨が降るときと降らないときの差が極端になっているという。豪雨被害が相次いでいるのに対し、1日の雨量が1ミリ未満の「無降水日」も増える傾向に。降雪量の減少や高い気温による水の蒸発なども渇水のリスクを高めている。
過去にもたびたび渇水「日本一の節水都市づくり」とは
そんな状況に警戒を強めているのが、市内に1級河川がない福岡市だ。過去にも長期間の給水制限を強いられるなど、渇水がたびたび問題になっており、市は「日本一の節水都市づくり」を掲げて対策を進めてきた。
その一つが、水道管の漏水防止だ。福岡市水管理センターの淵上敏則所長は、市内の浄水場や配水管の状況を刻々と映しだす大型モニターを前に「手動での弁操作は、1日あたり3千回に達します」と話す。
配水管にムダな水圧をかけ続ければ設備の劣化が進み、漏水も増える。そこで、水の使用量に応じて水圧をこまめに調節。たとえば昨年のサッカーW杯では、前半と後半の試合中は水使用量が大幅に減り、合間の15分間のハーフタイムだけ急増することを見越しながら、各地の配水管の弁を遠隔で調節したという。
日本の水道管の年間漏水量は…
【春トクキャンペーン】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら