第3回「隠したい」元SEALDsの過去 若者の声を封じるものは

有料記事遮断の時代

世界では戦争や有事の危機、国内では政治家や著名人への襲撃事件が相次ぐ。不穏な空気が漂う中、自由にみること、きくこと、はなすことが遮られていないか。記者が各地を歩いた。

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 関西地方の男性(29)は昨年12月、職場のテレビを見ていて、あるニュースが目に留まった。

 岸田政権が、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を明記した安保関連3文書を閣議決定――。

 「また通ったんだ」

 男性は学生団体「SEALDs(シールズ)」の元メンバー。2015年、集団的自衛権行使を認める安全保障関連法案に反対する国会デモにも参加した。

 結局、安保法案は強行採決された。SEALDsは翌年、解散した。

 「敗北」。男性はあの時の経験を2文字で語る。いまは市民運動からは身を引いている。

「声を上げた自分は誇り。でも街頭にはもう立たない」

 「シールズは左翼!」「就活…

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    三牧聖子
    (同志社大学大学院准教授=米国政治外交)
    2023年5月2日10時47分 投稿
    【視点】

    日本は声を上げる若者に冷たい国だとつくづく感じる。アメリカでは、銃乱射事件が起こり続けている現状に対し、何もしない政治家に憤った高校生たちが銃規制運動を大々的に展開した際、MITやカリフォルニア工科大学など多くの大学が、高校生たちの平和的な

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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2023年5月2日12時40分 投稿
    【視点】

    この種の誹謗中傷は、相手が弱いとみなすと、余計に激化しかねない。相手が動揺し、「弱者」であることを示せば示すほど、それを攻撃する側は「強者」の自信が持てるのだ。 この種の誹謗中傷への対処の一つは、動揺しないことである。おびえたり、逃げ

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