コロナ5類「移行後」、複数の知事が懸念 入院対応に難色示す病院も

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神宮司実玲 枝松佑樹 市野塊 長野佑介
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 季節性インフルエンザ並みの「5類」移行に伴い、新型コロナウイルス感染者を診る医療体制も「インフル並み」の水準に広げられるのか。コロナと向き合ってきた医療現場の現状や、それを支えてきた47都道府県の知事アンケートからは道のりの険しさも浮かぶ。

 「コロナは感染力が強く、今もインフルより手ごわい。いずれ全病院で対応できるだろうが、慣れるには時間がかかる」。コロナ入院に対応してきた日大板橋病院(東京都)の高橋悟院長はそう話す。

 同病院はすでに面会制限を緩和し、5類移行後は一般患者が入院する際の一律のPCR検査をやめる。より幅広い病院での対応を想定する都の要請で入院を重症患者らに絞り、最大60床あったコロナ病床を半分以下にする。

 ただ、院内でクラスターが発生した場合の影響はなお大きいと考え、職員に今まで以上に手袋やガウンの装着を徹底するよう指示した。近くの病院同士の会議でも「コロナ対応には人手がかかり、職員を確保できない」などと、5類移行後の入院対応に難色を示す病院もあったという。

 外来の確保も簡単ではない。院内で高齢者や妊婦の患者を感染から守れるのか、心配する声は根強い。

 千葉県医師会の入江康文会長によると、コロナ患者とほかの患者の動線を分けられないなど、施設の構造を理由に対応しない医療機関もあるという。5類移行後は診療報酬の特例加算が削減されるなど医療機関への支援も細る。

 入江氏は「それぞれの事情がある。国の求めだからといって、これまで受け入れなかったところすべてに受け入れを求めるのは、難しい」と明かす。「現実的に考えれば、県内の医療体制が国や県が求める水準に届くことはないのではないか」

各都道府県知事が示す懸念

大阪府の吉村府知事をはじめとした複数の都道府県知事が、5類移行に対して懸念を述べています。

 こうした医療現場の実態を背景に、国の掲げる目標の達成について知事からは慎重な回答もみられた。

 千葉県の熊谷俊人知事は外来、入院ともに「わからない」と回答。理由を「一部の医療機関で、対応に不安を感じているところがある」とした。県は研修会を開くなど、コロナ対応が未経験の医療機関にも協力を呼びかけている。

 大阪府の吉村洋文知事も外来…

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