流水型ダムめぐり県が国に意見書、水の透明度の調査要望

長妻昭明
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 川辺川で計画されている流水型ダムをめぐり、熊本県は25日、環境への影響を把握するために実施すべき調査などをまとめた意見書を知事名で国に提出したと発表した。水の透明度をはかる調査や魚道の設置の検討などを要望した。

 流水型ダムでは、蒲島郁夫知事の要望を受けて、国が環境影響評価法と同等の環境アセスメント(環境影響評価)を実施している。国は昨年11月に環境への影響をどう調査するかなどをまとめた「方法レポート」を公表。今回、蒲島知事は法の手順に準じてその文書についての意見書をまとめた。提出は24日付。

 知事意見では、最新の知見や技術を用いて環境に配慮して調査を進めながら、「流水型ダムの特徴を最大限生かせるように構造等の検討を行うこと」を要望した。ダム建設工事中に設置される仮排水路とは別に魚道の設置を検討することや、水没予定地となっている五木村の洞窟「九折瀬洞(つづらせどう)」について、現在の浸水の範囲や土砂の堆積(たいせき)状況を詳細に調査してダム建設による影響を予測・評価することを求めた。この洞窟にはコウモリや昆虫など貴重な生物が生息している。

 県によると、県外を含む一般の人や流域付近の6市町村、有識者らの意見も知事意見に盛り込まれているという。一般の人から寄せられた意見は86件あり、その中で、水の透明度への影響をはかる調査やダムの安全性を確かめる試験湛水(たんすい)で土砂が流入することによる濁りへの影響をはかる調査が盛り込まれた。流域市町村からの意見をもとに、住民の理解が深まるように分かりやすい文書を作成することも記された。

 今後、国が現地調査を実施し、その結果やダムの構造を記した準備レポートを公表。再び知事は意見書を出し、審査会を経て、評価レポートが確定する。(長妻昭明)

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