第3回欧州で広がる安楽死の容認 「義務のようになる」反対意見も根強く
「一定の条件のもとで『死への積極的援助』を認めることに賛成する人が多数派になりました」
フランスのパリで4月2日に開かれた、安楽死導入の是非を議論する「市民会議」。演壇に立った参加者の一人が議論の結果を報告すると、会場には大きな拍手が鳴り響いた。
市民会議は昨年9月、マクロン大統領が設立を発表した。年齢や居住地、学歴、職種など社会構成を反映するように調整した上で、電話番号による無作為抽出で184人の一般市民を選出。参加者は毎週金曜日から日曜日の3日間の議論を9週間にわたって続けた。
フランスでは2016年から終末期患者に延命治療を行わず、鎮静薬を投与して死に至るまでの苦痛を緩和する「消極的安楽死」が認められるようになった。日本では「尊厳死」と呼ばれる措置だ。
しかし、オランダやベルギーとは異なり、医師が明確な患者の意思確認を前提に薬物を投与する積極的安楽死やスイスで認められた自殺幇助(ほうじょ)は禁じられてきた。
市民会議では国内外の専門家との対話や少人数に分かれたグループ討論などを経て、参加者の76%が「死への積極的援助」に賛成の立場を選んだ。
「援助」の方法については、自殺幇助と医療従事者が致死薬を投与する積極的安楽死の双方を容認するとした答えが多数を占めた。
報告書の発表後、会場の参加者が議論を終えた後の自らの思いをみんなの前で打ち明ける時間が設けられた。
昨今は自死をタブーとするカトリックの影響が強い国でも、安楽死を容認する動きが目立っています。記事後半ではイタリアの例、バチカンの立場を紹介します。
「パパ、それはできないの」としか言えなかった
パリ郊外に住む保育士のバネッサ・カニエさん(47)は、この日のために用意してきた文章を読み上げた。
「パパ、私はあなたが『もう…