「勝負は告示日に決まっていた」二階氏の嘆き 知事選と補選で連敗
保守王国も日本維新の会の勢いを食い止めることはできなかった。
衆参5補欠選挙の開票が進む4月23日午後11時前、衆院和歌山1区で落選確実となった自民党の門博文氏の選挙事務所に、県連会長の二階俊博元幹事長(84)が姿を見せた。集まっていた支援者に一礼すると、上座を固辞して、隣のパイプいすに腰を下ろした。
「敗戦の弁」を語ったのは、県連会長代行の世耕弘成参院幹事長。陣営の選挙対策本部長として「これ以上はないという態勢を組んで、猛烈な運動量で活動してきた。力不足を心からおわび申し上げたい。本当に申し訳ありません」と頭を下げた。
二階氏はマイクを握ることなく、小声で周囲にお礼を言いながら事務所を後にした。車に乗る直前、集まった記者に口を開いた。
「ご本人を中心に全力で戦った結果、県民の判断がくだった。反省の上に立って、明日なる戦いに備えていかなくてはならない」
師事した田中角栄元首相を超え、自民党幹事長の歴代最長記録を持つ二階氏の言葉に力はなかった。
自民が下野した2009年9月、県連会長に就いた二階氏。紀州・和歌山で自民再建の先頭に立ち、全国的には「二階王国」として語られるまでになった。その王国で、関西を中心に勢力を拡大する維新に負け、和歌山で初めて国政の議席を奪われた。
この敗北は二階氏にとって単なる1敗では収まらない。統一地方選前半戦でも、徳島県知事選で二階派を挙げて応援した候補が落選した。盛者必衰が常の政界で、「党で最も政治技術を持った方」(安倍晋三元首相)と評された二階氏の政治手腕に陰りが見える。
「選挙ってのは告示日でもう勝負はついてんだ。始まってからやり始めるんじゃなくて、日ごろの活動で評価してもらっている」
「維新の風なんて、どこに吹いてるんだ」
衆院補選告示の11日、二階…