解除間近「来月から自由に参拝」 飯舘村の神社で例大祭

編集委員・大月規義
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 福島県飯舘村の長泥地区にある白鳥神社で23日、例大祭が開かれた。東京電力福島第一原発事故で避難指示が出ても、住民らは一時立ち入りの許可を受けながら、例大祭を毎年続けてきた。神社のある地域は特定復興再生拠点(復興拠点)のため、5月1日、約12年ぶりに避難指示が解除される。鴫原(しぎはら)新一区長は「これからは自由にお参りできる」と話した。

 白鳥神社のやしろは東日本大震災の揺れで大きく損傷したが、住民は避難する前に、崩れた内部や灯籠(とうろう)などを手作業で直してから、避難先へ向かったという。神社を守る役目の「地頭」を務める鴫原清三さん(68)は「神様を放っておいて逃げるわけにはいかなかった。ここはみんなの心のよりどころだった」と振り返る。

 この日の例大祭には避難先の福島市や川俣町などから約30人の住民らが集まり、昨年新築されたやしろの中で懇親会も開かれた。

 5月1日には長泥地区の復興拠点や一部の拠点外が解除される。その翌日には長泥地区の別の神社でお祭りがある予定で、住民らは草刈りややしろの掃除に向かった。

 前区長の鴫原良友さん(72)は「避難している間も、まめに帰って地区をできるだけ維持してきた。『そんなのは国の仕事だろう』と(長泥以外の)飯舘の人に言われるのが一番つらかった」と話した。(編集委員・大月規義

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