学術会議の法改正案、今国会の提出見送りへ 対立深まり審査進まず

阿部彰芳
[PR]

 日本の科学者を代表する機関「日本学術会議」の組織見直しをめぐり、政府は20日、会員選考方法の変更を盛り込んだ学術会議改正法案を今国会で提出することを見送ることを決め、与党側に伝えた。法案をめぐって学術会議側との対立が深まる中、世論の理解を得るのに時間をかけるべきだと判断した模様だ。

 改正案は、新会員を決める際に、外部の有識者による「選考諮問委員会」を設けるほか、会員以外も候補者を推薦できるようにすることが柱。

 学術会議は、会員選考に政府の意向が反映されやすくなる可能性があるとして、「独立性を損なう」と反発。18日にあった学術会議の総会では、政府に法案提出の見送りを求める勧告を全会一致で決議した。

 政府は今月28日に改正法案を閣議決定する構えだったが、学術会議の反発が強まる中で自民、公明の与党内でも法案の審査が進まなかった。閣議決定が大型連休以降にずれ込むと会期末の6月21日までに十分な審議時間が確保できず、今国会での成立は難しくなるとの見方が広がっていた。(阿部彰芳)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    蟹江憲史
    (慶應義塾大学大学院教授)
    2023年4月21日10時13分 投稿
    【提案】

    6人の選考についての説明や、学術の独立性確保は極めて重要な問題で、政府がこの点を尊重すると明確に示すのは、この課題解決の大前提です。そのうえで、学術会議のありかたも、もっと開かれた形で議論すべきではないでしょうか。  私自身、学術会議

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    佐藤武嗣
    (朝日新聞編集委員=外交、安全保障)
    2023年4月20日15時53分 投稿
    【視点】

    学術会議の会員選考のプロセスについて、透明性を欠いていると政府は問題視しているようだが、なぜその委員を外したのか、その理由すらまったく説明せず、透明性を欠いて、恣意的運用という印象を強めたのは、むしろ政府の方ではないのか。そのボタンの掛け違

    …続きを読む