中国のレアアース、世界シェア7割 G7も危機感、EV普及なお依存

奥寺淳
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 先端技術に欠かせないレアアース(希土類)の中国の生産量が昨年、前年より25%多い21万トンとなり、世界シェアの約7割を占めた。米地質調査所(USGS)が明らかにした。主要7カ国(G7)の閣僚級会合でも、中国の独占的な地位に危機感が示された。

 レアアースは希少金属の一部で、17種類ある元素の総称。世界的に普及している電気自動車(EV)のバッテリーやスマートフォンの製造に欠かせない。再生可能エネルギーへの転換が進むにつれ重要性はさらに高まっている。昨年の世界のレアアース生産は約30万トンで、17年の13万トンから大幅に増えている。

 国別では、ダントツの中国に続いて米国が2位で4万3千トン(シェア約14%)。3位はオーストラリアで1万8千トン(同6%)、4位がミャンマーの1万2千トン(同4%)と続く。上位4カ国で世界シェアの9割以上を占める。

 尖閣諸島問題をめぐり日中が対立した10年は、中国が世界シェアの95%以上を握っていた。中国による独占は日本や米国にとって安全保障上の脅威で、米国やオーストラリアが生産を始めた経緯がある。日本も中国以外からの調達を進めている。

 ただ、レアアースの需要が高まるにつれ、中国も生産量を増やし、昨年は10年前の約2倍に。再生可能エネルギーへの転換が進むにつれ重要性はさらに高まっており、いぜんとして世界の中国依存は続いている。

 16日まで札幌市で開かれたG7気候・エネルギー・環境相会合では、クリーンエネルギーへの転換を進める上で決定的に重要な鉱物資源や原料について、「(一部の国による)独占や供給不足によって生じる経済、安全上のリスクを避ける必要がある」と共同声明に明記された。

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この記事を書いた人
奥寺淳
編集委員|米中・国際関係担当
専門・関心分野
米中、日中、国際関係