「昼間は空気運ぶだけ」それでも必要なバス 進学や人口減少にも波紋

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鈴木剛志
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 10日午前6時半すぎ、北海道神恵内村の役場前の停留所で、高校生とみられる若い男女2人が始発のバスを待っていた。この日、道立高校の多くで新年度が始まった。

 すぐに、「岩内ターミナル」の行き先表示を光らせた路線バスが止まった。2人が乗り込んだものの、乗客は4人だけだった。

 このバスは、北海道中央バス小樽市)が運行する「神恵内線」。積丹町の名所「神威岬」寄りに位置する神恵内村の川白地区を出発し、日本海沿いの国道229号をひたすら南下する路線だ。泊村と共和町を通り、岩内町までの40キロ弱を走る。

 時刻表では、神恵内村役場前から岩内バスターミナルまでの約25キロはぴったり1時間かかる。

 「長い1時間でした。車内では寝ていましたね」

 村中心部近くで民宿「きのえ荘」を営む池本美紀さん(45)は神恵内線を使っていた日々を懐かしむ。

 岩内町にある岩内高校に通った3年間と、卒業後に岩内町の銀行で働いた5年間は、毎朝午前5時台に起きてバスに乗った。当時の車内は混み合っていた。やっと空いている席を見つけて腰を下ろしたこともあった。

 その神恵内線が、来年9月末で廃止されるかもしれないという。

故郷離れざるを得ない子どもたちも

 神恵内線は、北海道中央バス…

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