ノスタルジーでは書店の未来はない 「文庫X」を生んだ元店長の戦略

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宮田裕介
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 八重洲ブックセンター本店(東京都中央区)や七五書店(名古屋市瑞穂区)など、有名書店の閉店が相次いでいます。業界団体の調査では、新刊書店が地域に1店舗もない「書店ゼロ自治体」は全国で4分の1に達しました。

 書店の廃業の手伝いをする合同会社「未来読書研究所」田口幹人さん(49)は、盛岡市の「さわや書店フェザン店」の店長時代、カバーでタイトルを隠した「文庫X」を売り出したり、本のポップや郷土本を前面に出したりと、話題性のある売り場づくりをしてきました。一方、3代続いた実家の書店が閉店に追い込まれた経験もあります。

 「廃業する時だけノスタルジーから『もったいない』と盛り上がるのではなく、営業している段階から地域を巻き込み、これからの読者を育てていく視点を」と田口さん。詳しく聞きました。

大型書店すら厳しい状況に

 ――「書店ゼロ自治体」が、昨年9月時点で、全国で26%にのぼることがわかりました。現状をどう見ていますか。

 書店の減り方のフェーズは変わってきていると思います。

 まちの書店が消えた原因の一つは、2000年に大型小売店の進出を規制する大規模小売店舗法が廃止され、全国チェーンなどの大型書店が増えたことです。

 私自身も、その影響を受けました。

 さわや書店に入社する前に…

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