JRと東電の協議 ダム案巡り静岡県了承、条件付きで リニア工事

床並浩一
[PR]

 リニア中央新幹線計画で静岡県が求める「全量戻し」の対案としてJR東海が示したダム取水抑制案について、県は14日、JRがダムを管理する東京電力側と協議を始めることを条件付きで認める文書を通知した。ダム案公表から1年を経て、事態打開に向けた協議が動き出す見通しだ。

 ダム案では水力発電用に大井川上流に設置されている田代ダムの取水量を減らすことで、静岡工区のトンネル掘削で県外に流出する湧水(ゆうすい)量と調整均衡を図る。JRが昨年4月に提案したが、東電側が協議入りの前提として求める「関係者の了解」が遅れていた。

 3月の利水関係協議会で流域の市町や利水団体が協議の開始に一定の理解を示すなか、慎重な態度を示した県が市町側などと調整を進めていた。

 条件付きで認めるとした14日付の文書では、「ダム案をめぐる協議が東電側の水利権更新に影響しない」として、JRが事前確認を求めた前提条件について「想定通りなら水利権に関わる主張をしないが、想定外の場合、JRは協議会会員と協議する」と加筆するなど一部の修正を求めた。

 JRは東電側との協議を始める方針だが、文書の通知を受け、「修正案の趣旨を県に確認したい」との談話を発表。調整する考えを示した。

 県の文書では、JRが地質や地下水の調査を目的に山梨工区で実施している「高速長尺先進ボーリング」をめぐり、湧水対策について県専門部会で対話するよう改めて求める意見も付けた。(床並浩一)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません